10.20
視察報告(習志野、名護、下関)
こんばんは。西郷宗範です。
火曜日からきょうまで会派での視察へ…
今回の視察は私が特に力を入れて研究しているテーマの先進事例が多く、力が入ります。
特に下関の視察テーマである読書通帳は教育福祉常任委員会の県外視察テーマにも提案しましたが、今回は落選…
ということで急きょ会派視察のテーマに変更してもらっての視察となりました。
まず、習志野市は以前も予告したように、「骨髄移植ドナー支援制度について」です。
教育福祉常任委員会でも提案しましたが、骨髄移植のドナー登録をして、いざ提供の段階になった時、首都圏の大企業はボランティア休業等の保証が受けられますが、個人事業主などは休んでしまえば何の保証もない…
そのような状況でドナー登録をしてくれる人が増えるのかという問題があります。
ここ数年の間に多くの自治体がこうした問題を解決すべく、骨髄移植ドナー支援制度を設けてきています。
埼玉県などは県の協力もあり、県内全市町村がこの支援制度を設けています。
今回は全国6番目に制度を設け、また、多くの自治体の主流である1日2万円(上限14万円)という支援制度ではなく、1回10万円という当時1市しか実施していなかった事例を取り入れて実施している習志野市を視察しました。
習志野市では平成25年に(通称)健康なまちづくり条例を施行し、平成26年には「健康なまち習志野」宣言を行っています。
この条例と同時期に骨髄移植ドナー支援制度を開始しました。
これに先立つように一般質問等も議会で行われていたようですが、この一般質問が契機というよりは条例の施行が大きな要因だったようです。
また、全国6例目という早さもさることながら千葉県内で初めての導入というところも要素としてありそうです。
この支援制度が開始されてこれまで、実際に制度を利用された例は1例のみ…
なお、この事業にはドナーが従事している事業所にも5万円の助成が行われますが、この際は事業所は申請を辞退されたそうです。
予算は年間2例の30万円を計上していますが、実例として利用された消すが少ないのは、一つに適合するドナーがごくわずかということもあるのかもしれません。
しかし、1回10万円という方法は、日数に応じてというよりは、受理した市側の手間としては少ないかもしれません。
よくこうした事業では実際に提供を受ける方が市民ではないケースが多いことから、行政側としては踏み切れない点があるようですが、ドナーとして提供する市民の負担が少なくなるのであれば問題ないような気はします。
現在神奈川県ではどこもこの支援制度を実施していません。
県内初として本市が先行して行うということは意義があることです。
今後もこの件については実現できるように取り組んでいきたいテーマです。
続いて、名護市にある国際海洋環境情報センター(GODAC)です。
GODACは追浜に本部を置く国立研究開発法人海洋開発研究機構(JAMSTEC)の地球情報基盤センターに所属する組織です。
2001年の沖縄北部特別振興対策事業により、名護市が施設・設備を整備し、JAMSTECが借用して運用を行っています。
主な事業としてはこれまでテープを使っていた資料などを、データ化することでテープの劣化による資料の遺失を防ぐことなどを行ってきました。
現在では蓄積されたデータを整理・保存し、化学的・教育的に利用してもらうためにインターネットを通じて世界に発信してます。
施設はオープンに見学できることから、地元の学校や福祉施設、老人会等に至るまで見学に訪れ、地域に密着した様々な活動を展開しています。
特に展示はいろいろな工夫がされ、横須賀の本部より、展示物の見やすさ、わかりやすさという点では秀でているかもしれません。
来館者の人数も年々増え続け、昨年は1万8千人以上の来館者があったそうです。
特に夏休みは4000人以上も来館しており、子供たちの自由研究のテーマなどにも大きな影響を与えているようです。
また、本来業務である研究情報公開は開所当時は400TBだったデータサーバーも1.4PBと桁違いに上げられ、世界に類を見ない莫大な量の信快泳オズ・画像を配信しています。
配信されている映像や画像はJAMSTECの深海映像・画像アーカイブスでご覧いただけますので一度ご覧になってみるといいかもしれあません。
この施設に従事職員のほとんどが名護市在住…
地元の雇用、居住など少し大胆と思えるような方針が、結果として地元の活性につながっているのです。
本市としても、人口減少を嘆くのではなく、積極的な取り組みが必要と考えます。
さて、最終日本日は、下関市で読書通帳についてです。
下関市立中央図書館は平成22年3月に生涯学習プラザの施設の一部として民間指定管理でオープンしました。
この際、指定管理者が導入したのが読書通帳…
この読書通帳自体は韓国でスタートしたもので、下関中央図書館が日本では初めて導入しました。
いわゆる銀行の預金通帳と同様に読書通帳に読んだ本の履歴が印字されるというものです。
この読書通帳を取り入れてから、以前の図書館より貸出数は2倍近くに増えたそうです。
特に小学生の保護者からの反響は大きく、子供が兄弟で本の貸出数を競うことで今までの数倍も本を擁むようになったというご意見もくるそうです。
中には年間1千冊近く読む子供もいるそうです。
この読書通帳については全国サミットも実施しており、全国の読書通帳を利用している市町村が集まり、取り組みの意見交換などをしているそうです。
海津市などは本のタイトルのほかに本の価格も印字されることから、どれだけ図書館で本を借りることによって受益があったかがわかるようになっているそうです。
下関市では指定管理で運営されていた中央図書館しか設置されていないため、支所などでは通帳の印字ができないため市内で平等ではないというところが悩みどころということでした。
読書通帳のほかに予約ロッカーという全国でもここにしか導入されていないものもありました。
本市においてはまだまだ学力の向上が追い付いていません。
そうした中で、読書率の向上が学力向上に有益という話もあります。
こうした取り組みで学力向上にもつながれば、それに初期費用もたいした額ではないように思います。
この視察でもう一つ確認したかったことが、下関市立中央図書館は解説時から5年間は指定管理で運営し、その後直営に戻しています。
指定管理では読書通帳の導入など民間ならではの考え方でメリットもあったものの、職員の削減などもありメリットばかりが生まれたわけではないようです。
直営に戻したことで読書通帳の帳面を新たに作成しなければならないことで経費はかかりましたが、その分スポンサーを募ることで回収できたという官民連携のシステムも作り上げました。
実際、指定管理になる、直営になるは首長の考え方次第のようです。
詳細の報告については報告書で…