05.31
LCA国際小学校における英語教育【視察報告】
こんにちは。西郷宗範です。
先週の視察の報告書を書きながら、順次ブログのほうにもアップさせていただきます。
ここのところ一気に3件等報告すると、皆さん長すぎて読みづらいとのことでしたので、今回は一か所ごとにしたいと思います。
ということで、きょうは初日のLCA国際小学校について…
LCA国際小学校は、株式会社エル・シー・エーが運営する小学校で、2005年に開設した学校の教育を英語で指導する「LCAインターナショナルスクール小学部」を基盤に、2008年に構造改革特区制度を利用して文部科学省の認可を受けた日本で最初の株式会社立小学校です。
外国人に学級担任を任せていますが、日本式の教育を行っている学校です。
伺う前はインターナショナルスクールと同様のイメージを持っていましたが、実際行ってみると異なるイメージの学校でした。
ここでは、子どもたちをバイリンガルに育てる手段として、子どもたちが英語を使わなくてはならない状況を作り出すために授業を英語で行っています。
この教育法により、子どもたちは、日本人としてのアイデンティティを持ちながらバイリンガルに育っているそうです。
現在、株式会社エル・シー・エーでは、公立小学校でもLCA教育を活用できるようなメソッドや教材を開発しており、公立小学校で採用されれば同様の教育が公立小学校でも受けることができるようになります。
小学部には約280人の子供たちが通学しており、その多くは相模原市外から通学してします。
市内の就学率は50%を切る。また、自家用車で送迎される子どもは50人ほどで、その他は4か所に配車されるスクールバスに乗車し通学しているそうです。
20人クラスを基盤としており、学年の割合は1年生から4年生までが3クラス、5年生は2クラス、6年生は今年から1クラスとなっているそうです。
親の転勤等により退学する子少なくありませんが、中途から入学するケースがほとんどないため、高学年ほどクラス数が減少してしまっているそうです。
1年生から英語による授業も行っていくため、幼少期から英語に親しんだ子どもが主となりますが、毎年、数人ですが英語のコミュニケーションをとったことがない子どもも入学してきます。
その際には週3回の英語の放課後特別教室を履修してもらうこととなるそうです。
入学時説明会時には、この点も含め子どもにとって大変である旨の説明は行われているそうですが、それでも入学させたいということなのでしょうね。
授業の形式としては、計算などは世界共通なので英語で教えていますが、日本語での理解も必要な科目については、日本語による授業、日本語を併用する事業なども行っています。
そのほか、本物志向を養うため、学内にある絵画なども本物を掲示し、体育の授業にはオリンピック選手を招へいすることもあり、本物を体感することで子どもたちのモチベーションを上げることについても余念がありません。
ちょうど訪問した日にもオリンピック選手が授業を行っており、プロの始動によると競争の練習などが行われていました。
株式会社立の学校の場合、私学助成金が受けられないことや学校法人への寄付には認められている税法上の優遇措置が認められていないことなどから財政的に不利な点が多いです。
こうした背景もあり、国からも市からも学校法人になることを勧められているそうですが、校舎の建設費など13億円の借金があるため返済のめどが立たないと学校法人へ変更することは難しいということでした。
インターナショナルスクールとは異なり、日本語教育についてもしっかりと取り組んでいることから、中学校への進学も幅広い選択肢を持てます。
また、学習塾などへの就学を禁止していることから、学習塾を必要としない教育を受けられることは、子どもたちにとっても理想の教育であるといえます。
株式会社立という形式を考えれば、全国どこでも設立することは可能ではあるが、財政難により閉校という事態にならないよう、しっかりと別事業で経営を担保する必要も出てきます。
こうした点では、力のある会社にしか経営できないという印象も受けました。
本来であれば、本市への開校をお願いしたいほど理想的な教育体制であるとは考えますが、経営面、財政面を考えると、学校の建設を視野に入れるよりは、教育方針、教育体制などを公立学校でも受けられるように検討していくことが必要であると思います。