06.02
浜松市ユニバーサル農業の取り組み【視察報告】
こんにちは。西郷宗範です。
会派視察最終日は浜松市ユニバーサル農業の取り組みについて…
浜松市でも天竜川に近い場所にある農業生産法人京丸園さんに伺いました。
京丸園の現社長は400年近く続く農家の13代目…
2004年に農業生産法人京丸園株式会社として法人化をしました。
縁があって障がい者の雇用を始めたことにより、農業の問題点などが分かり、障がい者でも働ける農業に切り替え、農業と福祉の融合を考え始めたことで売り上げも向上するようになったそうです。
14年前のある日、お母さんと障がいを持つお子さんが2人で来られ、「この子を雇ってほしい」といわれたそうです。
お断りするとお母さんは「私も一緒に働きますから」と言われたそうです。
それでも断ると「お給料もいりませんから」と言われたそうです。
当時の社長は「お金を稼ぐために働くのに、給料がいらないなんて何を言っているのだろう」と思ったそうです。
その後も障碍者の応募は続き、どのお母さんも同じようなことを言うのをみて、「人はお金を稼ぐためだけに仕事をするのではなく、この世に生まれたからには自分の力を社会に生かしたい、役に立ちたい」という気持ちがあることを知ったそうです。
雇用した当初は、トレーを洗う簡単な仕事を任せたそうですが、漠然とした指示を出してしまったために、何百枚と洗わなければならないトレーのうち最初の一枚をひたすら洗うということになってしまったそうです。
福祉施設の人に相談したところ、最初の漠然とした指示は作業指示ではないということが分かったそうです。
具体的に「表面を2回洗い、裏面を2回洗う、そしてこちらの箱に入れる」というような具体的な作業指示を出すことが必要であると理解したそうです。
これまでの農業では当たり前に「ちょっと水を上げといて」というような漠然とした指示を出していましたが、ちょっととは何CCなのか、どれくらいの高さから上げるのかなど明確な指示をしないと、今後の農業は衰退の一歩をたどると考えたそうです。
その後は、障がいの状況に応じて、その人に会った作業機械をつくったりして、確実にその作業ができるように工夫をしてきました。
こうして、現在では89人いる従業員のうち大半が障がい者ということになっています。
農場では三つ葉、ねぎ、チンゲン菜を栽培しており、障がい者4人、未経験者1人という体制で運営しています。
ここでも様々な工夫がされており、誰でも簡単に栽培できるということ基本に考えられていました。
ここで重要なのが、農業で一番大事な苗の栽培…
農作業の80%は苗の栽培にかかっていると言えますが、障がい者や未経験者では苗の栽培に失敗してしまう可能性が高いので「自分たちにできないことはやらない」というスタンスで外部に委託しているそうです。
専門の人たちと手を組むということも大切なことなのだなと感じました。
現在でも農作業を受託している特例子会社からは様々な提案があるそうです。
こうした提案を解決していくとさらに売り上げが上がっていくということで、いままでの農業は何だったのかと思うようなこともあるみたいです。
今回の視察で、分業制の重要性、ユニバーサル農業と福祉事業の違いなどこれまであまり考えなかった視点を得ることができました。